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石崎浩一郎

萩原朔美の幾本かのプライベート・フィルムを観たとき、まずその明確で一貫したコンセプトに惹かれた。

かれが単純な構造を持つ映画作品のなかで何を言おうとしているかは短い枚数のなかで書き尽くすことは出来ないし実際に観るほかないのだが、
強いていえば作者は映画作品を生み出すというよりは映画作品についてのある考えを表明しようとしているのだということが出来るだろう。

普通、観客が商業的な劇映画のなかで虚構のドラマやイメージの世界に酔うとすれば萩原朔美の映画はむしろ「映画についての映画」であり、
ふだん観客の無意識裡に行っている映画の体験そのものへの考察から成り立っているわけである。

『アンダーグラウンドシネマテーク』