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岡部道男

萩原は「メモリー」で、子供の頃の自分をフイルムに再現しょうとしてきたが、
彼の作品は時が流れてゆく経過をフイルムにとどめようとするものと、すでに失われてしまぅた時をも、
フイルムにとどめようとするものとに大別できる。

部屋の壁に映った木の影を、日が山に隠れて影が暗くなってなくなるまで撮った
16ミリの「THE DREAM NECK GULLOTINED」も、
時の流れをひたすら見詰めるという作品で、これは「夢の首の断面図」となっている。

壁面に映るせわしなく動く木の影は幻を見ているような錯覚をおぼえるが日が山かげに隠れて、
影が消え闇になり部屋に明かりがついて、もとのしらけた壁がのこるというのは、
夢を見ていて、それがさめてゆくというアナロジーだと言っているのである。
ここから、影―夢―映画という一つの関係を引き出すことができる。

『映画評論』