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松本俊夫

変な言いかただが、私がこれまでの萩原作品に強く感じるものは「うつろい」の美学である。萩原は何らかの対象が、ある状態から別の状態に変貌していくプロセスに執着する。

ある物(あるいは事象)が別な物(あるいは別な事象)に変わるのではない。それはあくまでも様相のうつろいであり、そのうつろいに見せる繊細な時間の感受性にこそ萩原作品のユニークな特徴がある。

『芸術倶楽部』 1978年