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渡辺尚武

演劇にズブの素人で入団した私は、演出家の怒声にビックリ仰天した。私たち役者を犬猫でも扱うように怒鳴りつけるのである。この時の演出は萩原朔美であった。
よくいえば演劇に対する真剣さ、自分の描いた作品を作りだす真面目さのゆえだったのだろう。

『網走五郎伝 もうひとつの天井桟敷』 河出書房新社 2004年1月