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今野敏

当時、支部長の萩原朔美氏も、人当りはものすごく柔らかいくせに、けっこう喧嘩っ早かった。絡んできた相手の話を「うんうん」と聞いていたかと思うと、顔面めがけて、いきなり正拳をぶちこむのだ。
そのタイミングは、仲間である『悟空』重鎮たちにもわからなかった。仲間がまず度肝を抜かれるのだ。相手はさぞびっくりしただろう。

『琉球空手ばか一代』 小説すばる 2007年6月号